慰謝料を請求したいと決めたあと、何から始めればいいのか。いきなり調停を申し立てるわけではありません。順番があります。
ここでは、伝えるところから調停までの流れを整理します。そもそも自分の事情が対象になるかは慰謝料を請求できるケース・難しいケースで確認できます。
全体の流れ
| 段階 | すること |
|---|---|
| 1. 伝える | 請求の意思と理由を、記録が残る形で伝える |
| 2. 話し合う | 金額と支払方法を決め、書面にする |
| 3. 調停 | まとまらないときに家庭裁判所へ |
多くは1と2で終わります。いきなり3から始める必要はありません。
1. 伝える
何があったのか、いくら求めるのか、いつまでに返事がほしいのかを伝えます。感情を並べるより、事実と要求を分けて書くほうが話が進みます。
内容証明郵便はいつ使うか
内容証明は「いつ、どんな内容を送ったか」を郵便局が証明する制度です。中身が正しいことを証明するものではありません。
| 状況 | 内容証明が向くか |
|---|---|
| 連絡は取れる。話し合いの余地がある | まずはメッセージや手紙で足りる |
| 無視されている | 向く。本気であることが伝わる |
| 不貞の相手方に請求する | 向く。相手の住所を特定する必要がある |
| 期間の制限が迫っている | 向く。請求した日を残せる |
書く内容は、当事者、何があったか、それによって受けた被害、請求する金額、支払期限、支払方法です。脅すような書き方は避けてください。後の話し合いを難しくするだけでなく、こちらが問題を指摘されることもあります。
2. 相手が認めないとき
もっとも多い場面です。次の順で整理してください。
- 何を否認しているのかを分ける。事実そのものか、金額か、支払い能力か。争点が違えば対応も変わります
- 手元の資料を時系列に並べる。口論を続けるより、資料を示すほうが早く進みます
- 期限を切る。返事がないまま時間だけが過ぎるのを防ぎます
資料が足りないと感じたら、証拠として何を集めるかを確認してください。ただし、そろうまで請求しないという判断は勧めません。期間の制限があるためです。
減額を求められたとき
金額を下げてほしいと言われることがあります。応じるかどうかは自由ですが、判断材料は決まっています。
- 相手に支払う資力があるか。無い相手から取り立てるのは現実には難しい
- 一括か分割か。総額を下げる代わりに一括にする、という調整はよくある
- 離婚条件全体のどこに位置づけるか。財産分与や養育費と切り離せているか
その場で即答しないでください。いったん持ち帰り、全体の条件と見比べてから返事をします。
3. 慰謝料請求調停
話し合いでまとまらないときは、家庭裁判所の慰謝料請求調停という手続きがあります。離婚そのものも話し合う場合は、夫婦関係調整調停(離婚)の中で慰謝料も扱われます。
調停委員が双方から事情を聞いて進めるため、相手と直接やり合う場ではありません。ここでも、感情の経過より、出来事を裏づける資料があるほうが説明しやすくなります。
調停でまとまらなければ、訴訟を検討することになります。時間と費用がかかるため、どこまで進めるかは早い段階で見通しを持っておいたほうがよい部分です。
期間に注意する
民法724条は、損害および加害者を知った時から3年、行為の時から20年と定めています。生命または身体を害する不法行為については、同法724条の2により3年ではなく5年とされています。
準備が整うのを待っているうちに期間が過ぎることがあります。いつから数えるかは事情によって変わるため、事実を把握した時期は必ず記録に残してください。数え方の考え方は慰謝料の時効は3年?起算点の確認点で整理しています。
残りの期間は期限カレンダーで確認できます。
今日できること
- 何があったのかを、日付とともに時系列で書き出す
- いくら求めたいか、なぜその額かを一文で書く
- 相手の住所と連絡先を確認する
- 最初の連絡をどの方法で送るかを決める
決まった金額を書面にする段階になったら、慰謝料のページから支払方法の取り決めもあわせて確認してください。