お金のことは全部夫が管理していて、貯金がいくらあるのかも知らない。財産分与を考えたときに、まずここで止まってしまう方は少なくありません。

調べる方法はあります。ただし、自分でできることと、手続きを使わないとできないことが分かれます。順に整理します。分け方の考え方は財産分与のページで確認できます。

何が対象になるか

財産分与の対象は、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産です。名義が夫であっても対象になります。

  • 預貯金
  • 不動産
  • 株式、投資信託などの有価証券
  • 保険。解約したときに戻るお金があるもの
  • 自動車
  • 退職金。支給が見込まれる場合に検討される
  • 住宅ローンなどの負債

結婚前から持っていたもの、相続や贈与で得たものは、原則として対象外とされます。判断が割れやすいものを含めた一覧は分けられる財産・分けられない財産にまとめています。

なお、令和8年4月1日施行の改正により、寄与の程度が異なることが明らかでないときは相等しいものとする旨が民法768条3項に明記されます。「知らないから少なくてよい」という話ではありません。

自分で確認できること

まず、生活の中で目に触れる範囲から集めます。

見るもの 分かること
郵便物 取引のある金融機関、証券会社、保険会社の名前
確定申告書・源泉徴収票 収入、保険料控除から保険の存在
通帳・キャッシュカード 口座のある金融機関と支店
固定資産税の納税通知書 所有している不動産
車検証 自動車の名義
給与明細 財形貯蓄、社内預金、持株会など

この段階で大事なのは、残高そのものより「どこに何がありそうか」の手がかりを集めることです。金融機関の名前と支店名が分かれば、後の手続きにつながります。

やってはいけないこと

相手のIDやパスワードを無断で使ってネットバンキングにログインする、端末に監視アプリを入れるといった行為は、それ自体が違法と判断される可能性があります。目に触れる範囲で得られたものにとどめてください。

手続きを使って調べる

1. 話し合いの中で開示を求める

まずは相手に資料の提示を求めます。応じてもらえるなら、これがもっとも早い方法です。

2. 調停の中で求める

離婚調停や財産分与請求調停では、裁判所を通じて資料の提出を促す運用があります。当事者同士では出てこなかった資料が、この段階で出てくることは珍しくありません。

3. 裁判所の照会の手続き

裁判所を通じて、金融機関などに対し取引の内容を照会する手続きがあります。金融機関名と支店名が特定できていることが前提になるため、事前の手がかり集めが効いてきます。

4. 弁護士会照会

弁護士に依頼している場合に、弁護士会を通じて照会する方法があります。

いつの時点で見るか

対象となる財産は、一般に別居した時点を基準に確定させ、価格は分けるときの時点で見る、という整理がされることが多いとされています。

そのため、別居する前後の残高が分かる資料は特に重要です。別居後に相手が引き出しても、別居時点にあった財産として扱われうるためです。通帳のコピーや残高の記録を、その時期のものとして残しておいてください。

請求できる期間

財産分与を求められる期間は、離婚成立から一定期間に限られます。改正民法により、令和8年4月1日以後に成立した離婚については5年、それより前に成立した離婚については2年とされています。

離婚を急いで先に成立させると、この期間が動き始めます。順番には注意してください。

離婚が成立している場合は、期限カレンダーで残りの期間を確認できます。

今日できること

  1. 郵便物から、取引先の金融機関・証券会社・保険会社を書き出す
  2. 確定申告書、源泉徴収票、給与明細を確認する
  3. 固定資産税の通知書と車検証を確認する
  4. いま把握できている財産を、名義・種類・おおよその額で一覧にする
  5. 別居の予定があるなら、その前に残高が分かる資料を残す

どこまで調べられるのか、どの手続きに進むべきか整理したい場合は、相談窓口をご案内しています。