養育費の目安は、家庭裁判所が公開している養育費・婚姻費用算定表をもとに考えます。その算定表に当てはめるとき、最初に必要なのが双方の収入です。

ところがここでつまずく方が多くいます。源泉徴収票のどの数字か、自営業ならどう見るのか、相手が働いていないときはどうするのか。ここではその見方を整理します。金額の目安は養育費のページで試算できます。

給与所得者の場合

見るのは、源泉徴収票の「支払金額」です。手取りではありません。

資料 見るところ
源泉徴収票 支払金額。1年分の総支給額
課税証明書・所得証明書 市区町村で取得できる。給与収入の欄
給与明細 源泉徴収票が無いとき。総支給額を12か月分で見る

手取り額を使うと、目安が実際より低く出ます。算定表は総支給額を前提に作られているためです。

賞与も支払金額に含まれています。歩合や残業代で年によって変動が大きい場合は、直近数年分を並べて見ることになります。

自営業の場合

確定申告書を見ますが、「収入金額」ではなく「所得金額」を出発点にします。ここが給与所得者との大きな違いです。

そのうえで、実際には支出していない控除を足し戻して考えるのが一般的です。

  • 青色申告特別控除。帳簿のうえでの控除で、現金が出ていったわけではありません
  • 減価償却費。同様に、その年に現金が出ていったわけではありません
  • 専従者給与。家族に支払っている場合、実態を見ることがあります

逆に、事業のために実際に支払った経費は差し引いたままです。生活費と事業費が混ざっている場合は、そこが争点になります。

自営業は資料の解釈で幅が出やすい部分です。確定申告書一式(第一表・第二表・青色申告決算書)をそろえて話すことが前提になります。

相手が無職・収入が少ないとき

収入がゼロなら養育費もゼロ、とはなりません。実務では、働こうと思えば働ける状態かどうかが見られます。

状況 見られ方
病気やけがで働けない 診断書などで事情が示されれば考慮される
子どもが小さく働きにくい 事情として考慮される
健康で働ける状態だが働いていない 働いた場合の収入を前提に検討されることがある
失業中で求職している 一時的な事情として扱われることが多い

失業手当を受けている場合、その額を収入として見ることもあります。「無職だから請求しても無駄」と決めつけないでください。

転職・収入が変わったとき

取り決めの後に相手が転職した場合、それだけでは金額は変わりません。変更には話し合いか手続きが必要です。

  • 収入が下がったと言われたら、新しい源泉徴収票や給与明細の提示を求める
  • 自発的な転職か、やむを得ない事情かで見られ方が変わります
  • 上がった場合は、こちらから増額を求めることもできます

手続きは養育費の取り決めを変えたいときにまとめています。

相手が資料を出さないとき

もっとも多い困りごとです。次の順で考えます。

  1. 手元にある手がかりを集める。過去の源泉徴収票、給与明細、勤務先が分かるもの
  2. 話し合いの中で提示を求める。やり取りは記録に残す
  3. 調停を申し立てる。家庭裁判所の養育費請求調停では、裁判所を通じて資料の提出を促す運用があります

資料がそろわないまま進めても構いません。そろえられないことを理由に、話し合いを止める必要はありません。

今日できること

  1. 自分の源泉徴収票、または課税証明書を用意する
  2. 相手の収入が分かる資料が手元にあるか確認する
  3. 無ければ、勤務先や過去の資料など手がかりを書き出す
  4. 自営業なら、確定申告書一式がそろっているか確認する

収入が分かったら、取り決めに何を書くかは養育費の取り決めで決めておくことを確認してください。