婚姻費用としていくら受け取るかを話すとき、金額の前に決めておくことがあります。その額に何が含まれているのかです。

ここが曖昧なまま決めると、後から「学費は別だと思っていた」「医療費もそこから出すはずだ」と食い違います。金額の目安は婚姻費用のページで試算できます。

婚姻費用とは何を分担するお金か

婚姻費用は、夫婦が婚姻中の生活を支えるために分担する費用です。配偶者の生活費も含みます。この点が、子どものための養育費と異なります。

含まれるもの
衣食住の費用
光熱費、通信費
日常的な医療費
公立の学校にかかる標準的な教育費
交際費、娯楽費など日常の支出

家庭裁判所が公開している養育費・婚姻費用算定表は、これらを含んだ標準的な生活費を前提に作られています。

月額とは別に協議することが多いもの

算定表が前提としている標準的な範囲を超える支出は、月額に上乗せするか、別に協議するかを決めることになります。

費目 考え方
私立学校の学費 算定表は公立を前提とする。進学の経緯や双方の合意が見られる
塾・習い事 従前から続けていたか、双方が合意していたかによる
入学金、制服代 時期が決まっているため、別に取り決めやすい
継続的な医療費 持病や治療が続く場合。標準的な医療費を超える部分
保育料 金額が大きく、自治体で異なるため個別に整理する

「月額に含む」「別に協議する」のどちらかを、費目ごとに決めて書面に残してください。これをやらないと、支払いのたびに交渉することになります。

住宅ローンの扱い

もっとも争いになりやすい部分です。

相手が家を出て、残された家のローンを払い続けている。あるいはこちらが家を出て、相手が住む家のローンを払っている。この場合、ローンの負担を婚姻費用の計算でどう考えるかが問題になります。

  • 支払う側が、こちらの住む家のローンを払っている場合。住居費を負担してもらっている状態なので、婚姻費用から一定額を差し引いて考えることがあります
  • 差し引く額は、ローン返済額そのものではありません。ローンの返済には資産形成の側面があるためです
  • こちらが賃貸に住み、家賃を払っている場合。その負担を考慮するよう求めることになります

扱いは事情によって変わります。どちらが、どの家に住み、誰が何を払っているかを最初に整理してください。家そのものをどうするかは家をどうするか(住む・売る・引き継ぐ)にまとめています。

子どもの人数と年齢

算定表は、子どもの人数と年齢の区分ごとに分かれています。

  • 区分は0〜14歳と15歳以上です。15歳になれば区分が変わります
  • 人数が増えれば、その分だけ分担する額も変わります
  • 子どもがどちらと暮らしているかで、どの表を見るかが決まります

取り決めのあとに子どもが15歳になる場合は、そのときに見直すかどうかを先に決めておくと、後から交渉し直さずに済みます。

決めておくことの一覧

  1. 毎月の額
  2. その額に含まれる費目
  3. 別に協議する費目と、その分担割合
  4. 住宅ローンや家賃をどう考慮したか
  5. 子どもが15歳になったときに見直すか
  6. 支払日と支払方法

離婚が成立した後の取り決めは、養育費や財産分与とあわせて1通にまとめます。項目は離婚協議書に書くことで確認できます。

話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の婚姻費用の分担請求調停という手続きがあります。請求の進め方は婚姻費用の請求手続き、支払われないときは婚姻費用が支払われない・減額を求められたときにまとめています。